新入社員
毎日、品出しや荷物整理に追われています。今後、発注業務をするために普段どんな勉強をすればいいでしょう?私にできるか不安です。
こんな悩みにお答えします。
◆読んでほしい人
- 新入社員または新人アルバイト
- 今後、発注業務をする可能性がある
- いつ発注業務をさせられるか不安
- いずれ発注業務をやってみたい
◆本記事の内容
- 初心者でも発注ができるようになる方法【条件】
- 初心者でも発注ができるようになる方法【トレーニング法5つ】
- 初心者でも発注ができるようになる方法【疑問と欲求】
- 初心者でも発注ができるようになる方法【注意点3つ】
◆本記事の信頼性
この記事を書いている私は、
- 東証一部大手スーパー勤務歴25年
- 管理職歴(副店長・店長)5年
本当に現場で使える解説をしていきます。
◆本記事でわかること
- 「発注業務へ向けての思考と行動」が理解できます。
- 「普段からやっておくべきトレーニング」がわかります。
このトレーニングを普段からしておくことで発注を任された時に大きく差が出ます。
「いずれすることになる発注業務に不安を感じている」という方はぜひ、
最後まで読んでみてください。
初心者でも発注ができるようになる【条件】
勤務年数が長い短いは関係ない
経験が長くないと発注ができないわけではありません。
アルバイトの発注業務は、適正を見て上司が判断します。
正社員の場合は、段階を経て必ず発注業務を任されることになります。
企業方針やチーフ次第ですが、入社して間もない新入社員やアルバイトに発注をさせるような企業はかなり問題がありますね。
なぜ問題かというと、教育プログラムができていないからです。
たとえば、
物には順序があります。
経験すべき作業と習得すべき知識と技能で基礎を十分学んだ上で行うべきだからです。
経験の長い人だからといって発注が上手いわけでもなく、浅い人でも上手に発注をしてくれる人はたくさんいます。
真面目に、お客様のために仕事してくれる人がいいですね。
①安定と責任感、②判断力、③冷静さが必要
発注業務をする上で必要な資質です。
ひとつずつ解説します。
①安定と責任感がある
- 長く勤めてくれる
- 遅刻・無断欠勤がない
- 時間にルーズでない
- 物事をやり遂げる責任感
発注は毎日行う業務です。1日2回することもあります。
自分が休みの時以外は、毎日決まった時間までに時間厳守でやらなくてはいけません。
「忘れちゃったぁ~」では済みません。商品が入荷しなければ商売にならないからです。
長く安定して発注業務をしてくれる人はスーパーにとっては本当に欲しい人材なのです。
時間にルーズな人や無責任な人には任せられないのです。
②判断力がある
- やることやらないことの判断が早い
- 瞬間的な判断力がある
- いろいろな情報を考慮して判断できる
自分で決められない、何度も何度も聞きに来る、決断に時間がかかってしまう優柔不断な人。つまり、完璧を目指してしまうタイプは発注向きではないです。
ピタリ賞か、ホールインワンを狙ってしまうタイプも当てはまります。
ゴルフにたとえるならホールインワンではなく「グリーン」にさえ乗ればいいんです。
あとは寄せて(売る努力)最後にカップイン(完売)させることが大事です。
③常に冷静な行動ができる
- 不測の事態でも落ち着いて行動できる
- 広い視野で物事を見ることができる
- 柔軟な姿勢と判断ができる
発注は時間を多く取れません。
つねに締切時間に追われながら数百アイテムの発注を限られた時間でしています。
瞬発力と冷静な分析が求められます。
普段の仕事の取り組み方が大事
未経験者がスムーズに発注業務できるようになるには、普段の仕事の取り組み方と意識が非常に重要だということです。
たとえば、
- 入荷商品の仕分け
- 品出し作業
- 在庫整理
- 値引き作業
- 廃棄作業
上記のどの作業においても、取り組み方と意識しだいで半年、1年後に大きく差が出ます。
今回は、いかに普段の取り組み方が、のちの発注業務をする上で非常に大事かということをお話したいと思います。
初心者でも発注ができるようになる【トレーニング法5つ】
普段は品出しや荷物整理を中心にしている、あるいは発注以外の仕事は一通りやっているという方で、いずれ発注業務を任されることになる方、発注をやってみたい方を対象にお話します。
これからお話する内容は、普段の業務をする上で意識して取り組むことで今後、発注業務をする際スムーズに移行することができます。
トレーニングといっても「思考トレーニング」です。
今回は、5つの作業場面に分けてそれぞれの「思考トレーニング法」をご紹介します。
- 入荷品の仕分け
- 品出し
- 在庫整理
- 値引き作業
- 開店前準備作業
ひとつずつ解説します。
トレーニング①:入荷品の仕分け時
- アイテムごとの入荷量曜日別
- 平日と週末での入荷量の違い
- 平常時と特売時での入荷量の違い
入荷した商品はその日の発注量の答え。チーフや先輩が出した答えなんです。
正解かどうかは別としても、正解だと信じて発注した答えがまさに目の前にある商品なのです。
入荷した商品を見て、「今日もいっぱいきてるな」「荷降ろし面倒だな」と感じているだけではダメです。
仕分けしながらも、なにが何ケース、なにが何ケースと意識してやりましょう。
「これが今日の答えなんだ」と思って入荷品を分析するのです。
トレーニング②:品出し作業時
- 商品ごとの売場在庫量の状態
- なにをどれくらい品出ししたか
売場の状況と自分が品出しした商品と数量をざっくりと広く把握するように意識します。
売場の在庫量は、
- 全くない
- 3割位ある
- 半分くらいある
- 7割以上ある
- 満タンある
5段階くらいで把握できるようにしましょう。
売場の状態と売れ方の体感が大事です。売場で売れ方と売場在庫量を目で確認してください。
データなんか後回し、まずは売場(現場)です。
トレーニング③:在庫整理時
- 退社前の残数の確認
- 残数から発注量が適正だったか検証する
- 本日の販売数を予想する
品出しが終了した時の残量を見て、今日入荷した商品の発注量が妥当だったか判別ができる時だと思って在庫整理してください。
入荷した量から残量を引けば販売数と売場在庫になります。
データを見なくてもざっくり販売数がわかります。
トレーニング④:値引き作業時
何も考えず、機械的に値引きのバーコードを貼ってはダメです。
- なぜ売れなかったのか?
- なぜ値引きすることになったのか?
商品ごとに推測して欲しいんです。
単純に発注が多かっただけでしょうか?
- 品出しの量が多かった?
- 製造量が多かった?
- 鮮度が良くなかった?
- 加工・調理(見た目)が良くなかった?
- 価格が高かった?
- 場所が悪かった?
- 天気が良くなかった?
推測して自分なりに答えを出して、上司や先輩と意見交換してみるのもいいと思います。
「じゃあ、どうすれば良かったのか?」もあわせて考えてみましょう。
こういう思考の訓練が、次へ繋がります。
トレーニング⑤:開店前準備時
翌朝、前日の残数を確認します。
- どれくらい残っているか
- 品薄・品切れしている商品はどれか
- 値引きしたのに売れ残っている商品
なぜ値引きしたのに売れなかったのかを考えてみましょう。
- 品出し・値引きのタイミングが遅かった?
- 値引き額が少なかった?
推測して自分なりに答えを出してみましょう。
初心者でも発注ができるようになる【疑問と欲求】
わきあがる疑問と欲求
こうしてトレーニングを続けているうちに、いつかあなたに疑問と欲求がわいてくる時がきます。
たとえば、
- もっと発注増やせばいいのに
- いつも値引きになるから減らせばいいのに
- なんで売れないのに毎日同じ数入荷するのかな
- こっちの商品の方が売れるのに、なんでこの商品の方が入荷が多いんだろう
- 自分だったら、こうするのにな・・・
いろんなことが頭をよぎります。
日頃の疑問と欲求を踏まえ自分の考えを今後するであろう計画や発注に活かすのです。
このような思考と行動は必ず上司もチーフも先輩も見てくれています。
仕事に行く楽しみが増えますね。
初心者でも発注ができるようになる【注意点3つ】
最後に、トレーニングをする上での注意点を3つお話します。
- メモはしない、頭の中で毎日続ける
- データは後回し、まず体感する
- 検証する姿勢を忘れない
ひとつずつ解説します。
注意①:メモはしない、頭の中で毎日続ける
在庫や入荷数をメモして覚える必要はありません。
覚えることが目的ではないからです。
毎日かかさずこのトレーニンを続けていれば自然と頭に入ってくるようになります。
- 今日何ケース入荷した?
- あの商品、売場にどれくらいある?
- 冷蔵庫に何ケースある?
- 今日どれくらい出した?
こんな質問にもスッと答えられるようになります。
答えられるということは、自分が発注する時にも役に立つということです。
なぜなら、数百アイテムをデータをひとつひとつ見ながら発注している時間はないからです。
つまり、7割くらいの発注はデータを見ないでもできるようにするということです。
これができないと、時間内に発注が終わらないのです。
注意②:データは後回し、まず体感する
データは後回し、それよりも販売数と売れ方を体感することが大切です。
データは自分の予測を確認するために後から見ればいいです。データありきではやりません。
自分の目と体で確認するようにしましょう。
注意③:検証する姿勢を忘れない
なぜそうなったかを考え推測し検証しましょう。
- なぜ売れたのか
- なぜ売れなかったのか
- なぜ20ケースも入荷したのか
- なぜ足りなかったのか
このような疑問をもっても、「なんでだろうね~」で終わりにすることなく、つねに理由を考え検証する姿勢を持ち続けましょう。
こんなに細かいところまで見てくれている、気にかけているなら、一緒に発注をやってアドバイスを聞いてみようかなと思ってくれます。
そのうち発注を任せても良さそうだなと信頼度も上がりますね。
まとめ
今回は、初心者でも発注ができるようになる方法【トレーニング法5つ】と題して、発注未経験者が発注業務にむけて普段どのように仕事をすすめるべきかをお話しました。
発注業務は1日も休むことはできません。
年中無休が続く以上、1度でも止めれば営業に支障がでます。お客様にも多大なご迷惑をおかけします。
発注業務の安定化には、責任がともないます。
一部アルバイト・パートさんにも発注業務をしてもらいますが、社員はほぼ100%発注をすることになります。
ここに書いたことは、小売業では不文律のものです。
どこにも書いてありませんし、私も見たことがありません。
なので、不文律を文章化しようと決心しました。
毎日継続すれば必ず力になりますし、発注業務にもすんなり入ることができるようになります。
どなたかのお役にすこしでも立てれば幸いです。
今回は以上です。