スーパー業界へ就活中です。小売業界はブラック企業が多いと聞きました。ブラック企業へ就職しないために、どんなことに注意すればいいですか?
こんな疑問にお答えします。
◆本記事の内容
ブラックなスーパーに就職しないためにやるべきこと
- スーパーはブラック企業を見分けやすい業種
- ブラックなスーパーってどんなスーパー?
- ブラックなスーパーを見分ける行動3選
- ブラックなスーパーに就職してしまう人の共通点
- ブラックなスーパーを見分ける際の注意点
◆読んでほしい人
- スーパーへの就職を考えている就活生
- ブラック企業に入りたくない
- ブラック企業に入らないための方法を知りたい
◆本記事の信頼性
この記事を書いている私は、
- 東証一部大手スーパー勤務歴25年
- 管理職歴(副店長・店長)5年
理屈や理論だけでなく、現場で使える解説をしていきます。
◆本記事でわかること
- ブラック企業に就職してしまう人の特徴と行動がわかります。
- ネット情報に左右されない就活ができるようになります。
ブラック企業に入らないためにどうすればいいいか?解説していきます。
◆スーパー業界がブラックか気になる方はこちらをどうぞ。
※【就活者向け】スーパーはブラックなのか?元店長が解説します。
はじめに
◆全国にスーパーの企業は1800社以上、業界論を読んでも解決にならない。
ブラックなスーパーがゼロとはいいません。しかし、全部がブラックというのもまったく根拠がなく、そもそも話に無理があります。
総論ではなく、あなたが希望する企業がブラックかどうかです。ネットで書かれているスーパーとあなたの希望するスーパーが同じかどうかは確かめようがありません。希望の企業が決まっているなら、自分で情報を収集するしかないのです。
◆「業界平均」という数値のマジックに惑わされない。
業界の数値をどこからどこまでを対象にして計算したものか不明だからです。対象の企業が多くなればなるほど平均値は下がります。
労働時間もだれを対象にしたものかで結果は変わります。社員とアルバイトの比率が業界によって大きくことなるからです。
業界ごとの平均値で比較することに、どれだけの意味があるのか疑問です。
明らかなパワハラ・セクハラの横行と会社の不対応・黙認はブラックといえます。直接、御社はブラック企業ですか?なんて聞けません。しかし、情報を集め事実を重ねていけば、おおよその察しはつきます。就活中の企業側の対応・態度・表情・仕草からも感じ取ることができるのです。
今回は、就活する上で
- 企業研究する際のとるべき行動
- ブラックかどうかの判断基準
- ブラック企業に入ってしまう人の共通点
以上、3点について詳しく解説していきます。
スーパーはブラック企業を見分けやすい業種
数ある業種の中でスーパーほど仕事ぶりがオープンに見ることができて、調べやすい業種はないと思っています。
理由は以下の通りです。
- 仕事ぶりを間近で見ることができる。
- 勤務形態と1日のスケジュールを調べやすい。
- 社員・主婦・学生からも情報を集めることができる。
- アルバイトとして仕事を体験することができる。
ひとつずつ解説します。
仕事ぶりを間近で見ることができる
スーパーの仕事はオープンです。
だれでも買物しながら、仕事ぶりを見ることができます。
例えば、
- 品出し・売場作り
- 発注
- 値引き
- レジ
- 加工・調理作業
- 時間帯別の作業
- 入荷量
など、売場で行う作業をほぼ全部、1日の仕事の7割は見ることができます。
しかも、開店から閉店までいつでも、1日中見れます。ですから、どの時間に何の仕事をだれがしているか一目瞭然です。
この状況を利用して、やるべきことがあります。
- 気になるスーパーの支店を最低3店舗は見て回る。
- 開店時、夕方ピーク時、閉店時の3つの時間帯に分けて見る。
- だれが何の仕事をしているか?バイトか?社員か?
- 店の雰囲気、従業員の雰囲気や表情はどうか?
上記です。
徹底的に見て回り気がついたこと、疑問な点を整理しておきましょう。
後に従業員へのインタビューや会社説明会、人事部との懇談、OB訪問した際に確認するためです。
勤務形態と1日のスケジュールも調べやすい
仕事ぶりがオープンになっているわけですから、勤務状況も簡単に調べることができます。
例えば、
- 開店の何時間前に店内の照明が点いているか?
- 閉店の何時間後に照明が消えるか?
- 休日の取り方
- 休憩にあがる時間
- 発注は何時からしているのか?
- おおよその1日の仕事の流れ
調べようと思えば、そのスーパーの勤務体系がわかってしまいます。
照明がいつ点いて、いつ消えるかを調べるのは手間がかかりますが、実態を知らず入社して後悔するのはあなたです。2~3日調べればつかめるはずですのでぜひやってみることをおすすめします。
◆店内調査ではわからないこと
- 社内の雰囲気・人間関係
- 有給や昇進システム
- 残業・給与体系
- 社長の人柄・社風
上記については、従業員へインタビューしましょう。
社員・アルバイト・学生からも情報を集めることができる
地元の学生、主婦など一般人からの情報が得やすいのも特徴です。
スーパーは従業員の8~9割がアルバイトだからです。
他の業種は、仕事ぶりを外からうかがい知ることは難しくなっています。
例えば、
- 高層ビルの中にあるオフィス
- 関係者以外立ち入れない職場
- 外回りの営業
上記の通りです。
現役の社員はネットやSNSで会社への誹謗中傷は名誉毀損にあたり懲戒処分の対象にもなってしまいます。
現役社員の本音をネットで調べることはほぼできません。
社員構成比の高い業種、業態はなかなか外に情報が出てこないのです。クローズドな職場であるがゆえに情報が少なく実態が見えにくい。そのためブラックといわれにくいのです。
アルバイトとして体験することができる
アルバイトとして働いて自分に合いそうか、やっていけそうか確認できます。
一番おすすめな方法です。
◆メリット
- 実際に仕事を体験できる
- 社員から情報が集まる
- 教育制度を確認できる
- 社員の売場以外の仕事を見れる
- 残業、休日出勤の有無を確認できる
- 職場の雰囲気を体験できる
- 社員になった時のことを想像できる
もし、アルバイトの採用すらされなかったとしたら社員としての採用も難しいでしょう。
アルバイトでの採用は前哨戦であり、落ちたとしてもなぜ落ちたか本番に向けての対策にもなります。
ブラックなスーパーってどんなスーパー?
ブラック企業といわれますが、ブラックなスーパーとはどんな企業をいうのか確認しておきましょう。
ここの定義を間違ってしまうと、企業選択を誤ってしまうからです。完璧な会社はありませんが、最低限チェックしておくポイントを2つ、ご紹介します。
- パワハラ・セクハラ等の横行と黙認
- 法律に違反している
上記の通りです。
ひとつずつ解説します。
パワハラ・セクハラ等の横行と黙認
会社は知っていても黙認している。対応も処分もしない。むしろ、パワハラした側を擁護したり、隠秘している場合です。
従業員からの訴えに対応も処分もせず黙認しているような企業です。
パワハラもセクハラも個人が起こすコンプライアンス違反です。個人の起こした違反を企業として対応しないまたは黙認することは、コンプライアンスに対する意識が低い企業体質といわざるを得ません。
つまり、ブラック企業ということになります。
結局は法律違反をしている
ブラック企業の定義についてはいろいろ記事がありますが、結局のところ法律違反にいきつきます。
- 36協定なしの長時間労働
- 残業代の未払い
- 休日出勤の強制と手当未払い
など、明らかな労働基準法違反の横行と企業側の黙認が問題です。
その結果として、従業員が以下の反応を示します。
- 離職率が高い
- 若い社員しかいない
- 鬱になる
さらに、その対応策として企業側は、
- 新入社員の採用数を多くする
- 1年中求人をする
- 面接をゆるくし入りやすくする
という構図になっています。
ブラック企業の特徴としてあげられている事例は、このように元をたどれば法律違反なのです。
営業時間と勤務時間の差をどのように埋めているか
スーパーで働くということは、「営業時間」と「勤務時間」のダブルスタンダードで仕事を進めることになります。
この2つの時間の差をどのように埋めているかが非常に重要です。
例えば、
- 営業時間:9時~24時の15時間営業
- 勤務時間:基本8時間
上記ですね。
15時間の営業時間を8時間勤務、残業しても10~12時間の勤務時間でこの差をどんな就業規則と勤務体系でカバーしているかがチェックすべきポイントになります。
朝は開店前3時間から準備を始め、閉店後は1~2時間程度は閉店作業と翌日の準備に追われます。
つまり9時~24時の15時間営業であっても、店内に従業員が仕事をしている時間は6時~25時前後になります。
24時間で店舗に人が完全にいなくなるのは午前2時から6時までの4時間だけということになります。
◆シフト例
- シフト①:朝から閉店後まで通し
- シフト②:早番・遅番の2交代
- シフト③:早番・中番・遅番3交代
シフト①は完全なる違法労働でありブラック企業になります。早朝から閉店までのワンオペは過労死にもつながる非常に危険な働き方です。
シフト②は午前0時までの営業店舗の場合に多く見られる勤務形態になります。早朝から夕方までの勤務で、以降は遅番社員と交代になります。
シフト③は24時間営業店舗の勤務形態です。夜中から朝にかけての夜間勤務になります。逆に24時間営業でシフト①②の勤務形態になっている場合は問題です。
こんなスーパーはブラックとはいえない
ネットでよく見かける小売業界がブラックといわれる理由
- 転勤が多い
- 遠地への転勤もある
- 年収が低い
- 労働時間が長い
- 残業が多い
- アルバイトの比率が高い
上記の通りです。
非常に抽象的な表現ばかりで具体性がなく、これだけでブラックとはいえません。
なぜなら違法性が確認できないからです。
このような業界の抽象的な事例のひとつひとつを希望する企業ではどうなのか?確認する必要があります。
ブラックなスーパーを見分ける行動3選
- アルバイトとして働いてみる
- インタビューする
- SNSを利用する
上記です。
ひとつずつ解説します。
アルバイトとして働いてみる
先程もお話した通り、アルバイトとして働くことができる職種です。
本気でスーパーに就職したいなら、体験することができる機会を利用すべきです。
◆メリット
- 実際に働いてみて自分に合いそうか確認できる。
- 職場の社員から情報を集めることもできる。
- 本採用の前哨戦として面接の訓練にもなる。
- 人柄、仕事ぶりが認められれば人事へ推薦してもらえる。
- アルバイトで学んだことや苦労したことは面接時に役に立つ。
No.1~3は、先程お話したとおりです。
バイト先で仕事ぶりが認められ人柄も気に入ってもらえた場合、人事部へ店長から推薦がいくことは実際よくあります。
2年間のアルバイトで学んだこと、苦労したこと、お客様に褒められたこと、お店や業務に関することで改善・工夫したことなどを整理しておくと面接時に大きなアピールにもなります。
社員にインタビューをする
インタビューは、アルバイトとして働いている人には有利です。
しかし、どの社員に話を聞くかというのも重要な選択です。
例えば、
- 店舗社員
- 人事部
上記通りです。
それぞれ聞く相手を選ぶポイントを解説します。
店舗社員に聞く場合
- 1年目の新入社員には聞かない。
- 5~10年の社歴を持つチーフ(主任)クラスがベスト
- 20年以上のようなベテラン社員は時代が違うので参考にならないケースもある。
1年目の社員に話を聞いてもいいんですが、やっぱり1年目は大変です。
これはスーパーに限らずですが、いろいろ苦労すると思います。なので、聞いても苦労話や愚痴ばかり聞かされてしまう可能性があります。
できれば、その苦労を経験して壁を乗り越えチーフになった5~10年くらいの社員の方が、苦労はしたけど今はやりがいを持ってやってるというような前向きな話が聞けると思います。
1~2年目のまだ苦労しかしていない社員にだけ聞いて終わりにはしないでください。
ベテラン社員は、良いも悪いも経験しすぎて悟りを開いたような話をするのでピンとこない場合もあります。しかし、長い間企業の変革を見てきた立場からの貴重な話は期待できるでしょう。
人事部(会社説明会)に聞く場合
- 事前に聞くべきことを整理しておく。
- 担当の方の経歴を聞く。
- 素直にスーパー業界のうわさやネット上の話に心配していることを話す。
- 相手の表情・態度・しぐさから真意を図る。
- 回答の内容が店舗社員と差があるか確認する。
素直に、世間のスーパー業界に対する噂やネット上の書き込みについて不安に思っていることを話しましょう。もちろん否定するでしょうが、その時の担当者の表情・態度・しぐさから真意を図ることが必要です。
人事部は基本的には悪い話はしません。
あなたが良い人材であればあるほどいい話ばかりしてくるかもしれません。もちろん入社してほしいからです。だからといって、そのままいい話だけ聞いて帰ってはいけません。
まずは、人事の担当の方が今まで社内でどのような仕事を経験してきたかが重要です。
外部から途中入社で社内での下積み経験のない人もいます。人当たりがよくて優しそうでも、肝心の仕事の話が聞けなければ相手のペースで終わってしまいます。
もし、そのような経歴しか持たない人事担当の方の場合は、店舗でのインタビューの許可をお願いするか紹介してもらいましょう。
通常であれば断られることはないと思います。
しかし、それはできない、もしくは「店も忙しいから・・」といろいろ理由をつけて敬遠されるようであれば、なにか後ろめたいことがあるということでしょう。
◆こんな時は要注意
あきらかな隠蔽体質であり、情報操作をしている可能性が高いです。
このようなケースに遭遇した場合は選択肢から外すことをおすすめします。
なにをどう聞けばよいか?
雑談して、会社の愚痴を聞いて終わりでは全く意味がありません。
◆良い例
- 事実のみを聞き重ねて、察する、感じ取る。
- 話の途中でブラックだなと感じても口に出さず、表情にも出さず最後まで聞く。
- 「うちの会社はやめたほうがいいよ」といわれた時は、具体的な話を聞く。
◆悪い例
- いきなり「御社はブラック企業ですか?」と聞いてしまう。
- 年収や給料などお金の話から始める。
- 面接ではないからとラフな言葉づかいをする。
お金の話は、「他に聞きたいことある?」と言われた時、最後に聞く感じでいいと思います。
注意すべきは、人事へ話が繋がっている場合が多いということ。態度、表情、言葉遣い、身なりなどの印象はそのまま人事へ伝わってしまいます。
面接と同じ心構えで聞きましょう。
SNSを活用してみる
- ツイッター
- クラブハウス
SNSで募集し匿名で話を聞きます。
◆募集対象者
- 現役従業員
- 退職者・転職者
- ライバル企業社員
問題点としては、相手がどこまであなたを信用して話してくれるか、本音を打ち明けてくれるかです。
そして、あなたが顔も見えない、どこの誰かもわからない相手の話を信用できるか?ということです。
SNSの場合、匿名性が強いため愚痴が多くなってしまう可能性もあります。どんな優良企業であっても聞けば愚痴は必ずあります。
ブラックと愚痴は違います。
愚痴は個人の好みや価値観が強く出るからです。
そこをよく見極めておかないと、せっかくの優良企業をブラックと勘違いしてしまうことになります。
ブラックなスーパーに就職してしまう人の共通点
次に、ブラックな企業、スーパーに就職してしまう人の特徴をお話します。
つまり、だまされやすい人ですね。
- ネットの情報だけで判断する
- 会社パンフレットを読んで満足する
- 人事部の人の印象で決める
- 会社説明会の印象で決める
- 店舗や売場の印象で決める
- 友人と一緒に入社だからと安心してしまう
上記です。
読んでいただければおわかりだと思います。
我々だって面接の時は身なりをきちんと整えて見た目よくしますよね。
中身はともかく(笑)
企業も人を採用するためですから見た目にはこだわります。
少しでも印象を良くして、たくさんの学生に応募して欲しいですし、たくさんの学生の中から選びたいですからね。企業も必死です。
でも、それに惑わされてはいけません。
見た目が良いのは当たり前、良い就職のために中身を吟味しましょう。
ブラックなスーパーを見分ける際の注意点5つ
◆ネット情報・噂を鵜呑みにしない。
今回の記事は、あまりにも一方的な情報がネット上に多いため、就活生が惑わされないために書いています。
◆事実から判断する。
高い低い、多い少ない、などはあくまで相手の価値観、まずは事実を聞き出し、自分の価値観で判断しましょう。
◆インタビューで知り得た情報は口外しない、SNSで拡散しない。
話してくれた従業員に迷惑がかかります。場合によっては処分の対象になります。
◆ブラックかどうかの判断は、あくまで自分の価値観しだい。
2年に1回の転勤が多いか少ないかはひとそれぞれです。年収1000万が高いか低いかも、あなたの生活レベルしだい、人生観しだいです。
◆100点満点の企業もスーパーもない。
最初は良いやつだと思ったのに長く付き合ってたら粗が目立ってきた。最初は嫌な奴、失礼な人だと思ったが付き合ってるうちに良さに気づいてきた。本当の良さ、悪い所に気づくには長い時間がかかります。気にしすぎると、どこにも就職できません。
まとめ:最後はあなたの価値観とビジョンしだい
いかがだったでしょうか。
今回は、「ブラックなスーパーを見抜け!やるべき行動3選」と題して、就活生向けにブラック企業に入らないために見抜く方法、やるべき行動についてお話してきました。
おさらいします。
- スーパーは全国に1800社以上あり業界総論では解決できない。
- 間近で1日中仕事ぶりが見れるためブラック企業を見分けやすい。
- ブラックなスーパーは法律違反、転勤や年収、残業の多さではない。
- アルバイトとして働けるチャンスを活かし体験と情報を集める。
- そもそも100点満点の企業もスーパーもない。
上記の通りです。
ブラック企業は、もとをたどれば法律違反です。
年収の高い低い、休日の取り方、残業、転勤の場所や多さで決まるものではありません。
「業界平均」という数値に惑わされず、希望する企業があなたにとってどうなのかという視点で就職活動をしてみてください。
希望のスーパーに就職できることを陰ながら応援しております。
頑張ってください!
どなたかの参考になれば幸いです。
今回は以上です。