スーパーの仕事計数管理

【初心者からチーフまで】スーパーの部門運営に必須な数値12選

スーパーの仕事

スーパーの社員2年目

品出し・荷下ろし作業に追われる毎日です。正直、数字は全然見てなくて、なにをどう見ていいか分かりません。これからチーフになるために必要な数値管理とはなんですか?

こんな悩みにお答えします。

 

◆本記事の内容
  • 数値管理が必要な理由
  • スーパーの部門運営に必須な数値管理8選【初心者編】
  • スーパーの部門運営に必須な数値管理4選【チーフ編】
 
◆読んでほしい人
  • 作業に追われ、数字に無関心だった
  • なにをどう見ていいのかわからない
  • 見てはいるが、使い方がわからない

 

◆本記事の信頼性

この記事を書いている私は、東証一部大手スーパー(売上は日本でベスト5入)勤務歴25年、管理職歴(副店長・店長)は5年です。小売業界で長く働いた経験をふまえ、理屈や理論ではなく実践に役立つ解説をします。

 

◆本記事でわかること

本記事を読み終えると「部門運営するための数値管理」がわかります。今回は、初心者からチーフまで「スーパーの部門運営に必須な数値12選」を解説します。

私自身、大手スーパーで25年数字と向き合ってきた経験があるので参考になるはずです。新入社員にも数値管理の基礎をわかりやすく解説します。

 

最後まで読んでみてください。

 

 

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数値管理が必要な理由

 

まず、数値管理が必要な理由からお話します。

前提として、企業は売上と利益を伸ばすためにやっています。しかも時間と人も限られています。効率よく効果的な対策をするためデータは欠かせないのです。

 

もう少し具体的に理由を見ていきましょう。

  • 理由①:結果を共有化するため
  • 理由②:やることとやらないことを分けるため
  • 理由③:新たな目標を設定するため

ひとつずつ解説します。

 

理由①:結果を共有化するため

 

やったことの結果を指標で比較します。

しかも結果を点でとらえるのではなく、継続して定点観測することによって線でとらえ変化をみるためです。

 

たとえば、

  • 身長、体重、血圧、体温
  • 月収、食費、光熱費、交際費
  • ガソリン単価、ガソリン代、燃費
  • 模試の点数、全国順位、学内順位

すべて結果を知るための指標です。

 

変動が上がっているのか、下がっているのか、変わらないのかを同じ指標を使って相互確認しています。前回と比べてどうだったか、去年と比べて、先月、先週、他のガソリンスタンドと比べてどうなのかとか、いろいろ比較検討も改善もできるわけです。

 

つまり、現在の立ち位置を知るためです。

 

理由②:やることとやらないことを分けるため

 

なにかをやるということは、なにをやらないかを決めることだからです。

 

たとえば、先程の指標で試験の点数、順位の話をしましたが、

英語以外の点数が良かったなら、あなた他の教科より英語の勉強に集中するはずです。しかし、英語を片っぱしから全部勉強はしませんよね。英語のどこが悪いのか、リスニングか文法か長文読解かをさらに分けて勉強するはずです。

仮に文法だったら、なんの文法か?

模試のデータ分析を見て時制か仮定法か関係代名詞か、さらに分けて勉強しますよね。スーパーで使う数値管理も全く同じです。

 

このように「選択と集中」でムダのない行動をするために数値管理は使います。

 

理由③:新たな目標と行動を決めるため

 

結果から、目標を再設定するためです。

 

現状と目標のGAPを埋めるために、なにをすべきかを逆算して考えます。

逆算するために数値を使いますし、なにをすべきかもムダのない施策をするために数値を使って「選択と集中」をするわけです。

 

たとえば、

当初の予算を上回り予算比105%、前年比110%の場合、翌月の目標を予算に対して、前年に対してどれくらいに設定するか決めます。

なにもしなければ、先月と同様の結果ですが、さらに高い目標を設定して現状とのGAPをどうするかを考えることが、売上アップにつながります。

 

さらなる数値アップのために数値管理は欠かせません。

 

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スーパーの部門運営に必須な数値管理8選【初心者編】

 

では、実際どんな指標を知っておくべきかを見ていきます。

  • 予算と売上高
  • 客数
  • 買上率
  • 部門構成比
  • 売上総利益
  • ロス
  • 客単価

売上と利益を上げるために使う指標です。

この指標はセットで見るべき数値になります。毎日、週毎、月別、四半期、半期、年間と折に触れてつねに確認しておきましょう。

 

予算・売上高・部門構成比

 

会社から与えられた最低限の目標です。

 

最低でも、この数字は達成して欲しいという数値です。最低というのは、予算を達成して100%であり、未達成なら予算割れという評価になるからです。

そもそも予算のたてかた自体に問題がある場合もあり、双方納得のいく予算組みがなされるのは難しいです。

 

予算といってもいろいろあります。

  • 売上
  • 利益
  • 経費

利益や経費は、さらに売上総利益・営業利益や固定費・変動費など細かく分類されます。その中で最も重要な指標が、売上高になります。

すべての指標の原資になるからです。

 

部門構成比

店売上に対して部門の売上構成比です。

店舗の売上に対して鮮魚や青果、精肉、ベーカリーなどがそれぞれどのくらいの売上を占めているかを表しています。

 

求める式は

(部門売上÷店舗売上)✕100=部門構成比

 

たとえば、

店の売上が500万くらいで推移している場合に、鮮魚の構成比が下がっていたら魚を食べたくないのか、食べたい魚がないのかを検証しなくてはいけません。

不漁が原因か、高騰が原因か、下落で単価が下がったのか、鮮度が悪いのか、それによって対策が変わるからです。

 

部門の構成比も重要な指標です。

 

売上総利益とロス

 

なにも引かない最初に発生する利益です。

 

商品を販売したときに、最初に発生する利益をいいます。人件費や固定費など「販売費及び一般管理費」を引くと営業利益になります。利益の原資となる売上総利益の大きさが会社の利益を左右します。

 

求める式は以下の通りです。

売上高-売上原価=売上総利益

 

では、売上総利益を左右する要因とは?

  • 仕入原価
  • 値入
  • 値引き
  • 廃棄

たとえば、値入率が30%でロス率が10%の場合、利益率は20%です。しかし、値入率が25%でもロス率が3%なら利益率は22%です。値入率とロス率のバランスが重要です。

そして、仕入原価が下がると値入率は上がります。

 

部門の業績をはかるなら、売上総利益を売上との関係とセットで検証が必要です。

  • 売上は落ちているけど利益率は上がっている
  • 売上は上がっているけど利益率は下がっている
  • 両方上がっている
  • 両方下がっている

ケースごとに施策が変わるからです。

 

客数・買上率・客単価

 

客数一人当たりの買上げ点数と金額です。

 

求める式は

買上点数÷客数=買上率
売上金額÷客数=客単価

 

客数は、レジを通った人数です。来店客数ではありません。

たとえば、

家族4人で買物に来ても、レジ会計をお母さんがすればレジ客数は1人で、来店客数は4人になります。

通常、来店客数をはかることはできないので、レジ客数を使うことになります。

 

客数一人当たり何点買ってくれたかで、部門や店の状態をはかろうというものです。

つまり、客数は多いのに点数や金額が少ない場合は、

  • 品揃え
  • 価格
  • 鮮度
  • 場所

に問題がないか検証が必要だからです。

競合店にはあるのに自店にはない、価格が高い、鮮度が悪い、分かりづらい場所にあるなど売場を見て判断します。

 

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スーパーの部門運営に必須な数値管理4選【チーフ編】

 

先程の8選にプラスして見るべき指標です。

部門責任者であれば当然知っておかなければならない数値になります。

  • 営業利益
  • 商品回転日数
  • 総労働時間
  • 人時売上高

効率に関する指標になります。

 

ひとつずつ解説します。

 

営業利益

 

売上総利益から「販売費及び一般管理費」を引いて残った利益です。

 

求める式は以下の通りです。

売上総利益 - 販売費及び一般管理費=営業利益

 

店舗で営業をするには、いろんな経費がかかります。

たとえば、

  • 場所を借りれば家賃
  • 電気・ガス・水道を使えば光熱費
  • 人を使えば給料を払う人件費
  • 電話・FAXを使えば通信費
  • 商品配送を頼めば運搬費

他にもたくさん経費はかかります。

払うものを払って、残った利益が営業利益というわけです。

 

なので、せっかく稼いだ売上総利益なのに、経費がたくさんかかってしまえば利益どころか赤字になってしまいます。

売上総利益はロスを抑えて確保して、営業利益は経費を抑えて確保することがポイントです。

 

商品回転日数

 

棚卸在庫が何日かかって1回転するかを表す指標です。

売上の何日分の在庫があるかという指標でもあります。

 

求める式は

仕入原価÷{(期首原価在庫金額+期末原価在庫)÷ 2}=商品回転率
日数÷商品回転率=商品回転日数      

※日数は、期首から期末までの期間になります。

期首が4月1日で期末が4月30日なら、日数は30になります。任意で設定できます。

 

商品回転日数が少ないということは、一日の売上に対して余計な在庫が少ないということで、不良在庫、不明在庫の削減、ムダのない仕入れのため在庫管理の効率がいいとされています。

 

特に、食品を扱うスーパーにおいては鮮魚、青果、精肉と生鮮食品を販売するため、商品回転日数が大きいと、在庫が多く、鮮度劣化につながります。

商品回転日数が1.0より少なく0.9や0.8の場合は、理論上は品切れの状態にあるといえます。

 

もし生鮮部門において、商品回転日数が2.0を超えているとしたら

  • 仕入れすぎて在庫過多になっている
  • 売上と売場面積が合ってない、広すぎる

値引きや廃棄を増やす原因と多すぎる物量をさばくのに、時間と人手がかかります。利益が取れないところに、経費まで余計にかかれば店の経営に大きく影響してしまいます。

 

売上と売場と在庫から効率を見直すための指標です。

 

総労働時間

 

勤務時間から休憩時間を差し引いた、労働時間の合計です。

 

◆勤務時間
就業規則上の始業から終業までの時間

9:00~17:00の場合 勤務時間は8時間になります。

◆労働時間
勤務時間から休憩時間を差し引いた時間

9:00~17:00 休憩1時間の場合:休憩の1時間を引いて7時間になります。

 

総労働時間は、部門別または店舗全体で、期間中の全従業員の労働時間の合計になります。

経費がかかればかかるほど営業利益を圧迫します。労働力も無制限ではありません。時間超過すればその分残業代を支払わなければならないからです。

 

ですから、

同じ売上500万でもより少ない人数または時間で達成した方が、利益幅は大きくなります。

総労働時間と人件費、営業利益はセットでとらえ作業効率が必要ならばあとどれくらい労働時間を減らすべきか?あるいは人が多すぎるなら足りない部門へ異動させるなど対策をたてることができます。

チーフは営業利益をみて、効率の面から人数と総労働時間の確認も忘れずにしましょう。

 

人時売上高

 

従業員1人あたり1時間でどれくらいの売上をたてたかの指標。

 

この数字が高いということは、少ない時間、少ない人数で売上を稼いだことになります。

 

求める式は

月の売上高÷月の総労働時間=人時売上高

 

例えば、

月500万円の売上で月の総労働時間が1,200時間の場合、人時売上高は4167円になります。

式:500万÷1200時間=4167円

他の店舗や他の部門と比較して、同じような売上で人時売上が低いようならば、作業改善の対象になります。

目標となる数値を決め達成できるように部門内での共有化で意識改革が必要です。

 

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まとめ:スーパーの部門運営には数値管理が必要

 

今回は、「スーパーの部門運営に必須な数値12選」と題して、初心者からチーフまでを対象に部門を運営するのに必要な指標と数値管理のお話をしてきました。

 

おさらいします。

 

前提として、

  • 企業は売上と利益を伸ばすためにやっている。
  • 時間も人も限られている。
  • 効率よく効果的な対策をしたい。

以上3点です。

 

数値管理が必要な理由は3つです。

  • 理由①:結果を点でなく線として捉え共有化するため
  • 理由②:「選択と集中」でムダのない行動をするため
  • 理由③:結果を踏まえて、新たな目標を設定するため

ざっくりいうとこんな感じです。

 

売上と利益を上げるための指標8つです。

  • 予算と売上高
  • 客数
  • 買上率
  • 部門構成比
  • 売上総利益
  • ロス
  • 客単価

 

部門責任者が知っておくべき数値です。

  • 営業利益
  • 商品回転日数
  • 総労働時間
  • 人時売上高

こちらは、効率に関する指標です。

 

数値はあくまで結果です。問題はその結果にかくされた理由です。なぜそのような数値になったのかを予測し推測し改善するための対策を打つことです。

改善をしたらまた検証をして、目標を設定して行動する。このくりかえしを粘り強くやるしかないありません。

数字に振り回されることなく、上手に利用できるかが鍵ですね。

 

参考になれば幸いです。

今回は以上です。

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