スーパーの仕事計数管理

【スーパー勤務歴25年】売上総利益がとれない原因4つ教えます

スーパーの仕事

青果部チーフ

青果の売上総利益率が上がりません。目標の利益をもう3ヶ月も取れていません。店長からも指導が入り、後がありません。どうしたら利益を取ることができるでしょうか?

こんな悩みにお答えします。

 

◆本記事の内容
  • 売上総利益の仕組みを理解する
  • 売上総利益がとれない原因4つ
 
◆読んでほしい人
  • 部門の荒利がとれず悩んでいる
  • チーフだけど、実は利益のとり方を知らない
  • 商売のことがわかっていない

 

◆本記事の信頼性

この記事を書いている私は、東証一部大手スーパー(売上は日本でベスト5入)勤務歴25年、管理職歴(副店長・店長)は5年です。小売業界で長く働いた経験をふまえ、理屈や理論ではなく実践に役立つ解説をします。

 

◆本記事でわかること

本記事を読み終えると「売上総利益のとり方」がわかります。今回はチーフと対象に「売上総利益がとれない原因4つ」を解説します。

 

私自身、チーフになりたての頃は、1年以上利益をとれず店長にブチ切れられました。その後、必死に勉強して10年以上、毎月利益を出し続けました。

正直、利益が出すぎて困るほどでした。

ですから、いま困っている方も取れるようになります。

 

最後まで読んでみてください。

 

値入と荒利については、【初心者向け】公式は1つだけ!実践で使える値入と売価の計算方法でも詳しく解説しています。

 

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売上総利益の仕組みを理解する

 

利益がとれない人の多くは、仕組み自体よくわかっていないことが少なくありません。やみくもに商品を発注して並べても、利益は上がらないしとれません。

 

まずは、値入と売上総利益の仕組みから見ていきましょう。

 

値入と売上総利益の関係

 

値入は、販売する前に予定された利益です。

 

通称「ねいれ」と呼んでいます。

販売前なので、値引きや廃棄のロスは考慮されていません。

 

つまり、値引きや廃棄がなく販売できれば、

値入 = 荒利

ということになります。

 

しかし、実際には食品を扱うスーパーにロスは付きもので、値入通りに販売できることは不可能です。

 

◆値入と荒利の関係を図にすると以下のようになります。

値入と売上総利益の関係

値入と売上総利益の関係

 

荒利は販売された後に、残った利益です。

ここでいう荒利とは、「荒利益」のことを指します。通称「あらり」と呼んでいます。

 

この荒利益を「売上総利益」と呼びます。

 

荒利益 = 売上総利益

 

販売後なので、値引きや廃棄が考慮されます。実際に販売された時、値引きや廃棄などのロスを差し引いて残った利益です。

 

つまり、売上総利益は売れないと発生しない利益ということです。

いくら値入を上げて値入率を高くしても、売れなければ売上総利益(荒利)は発生しないのです。

この点をよく理解してください。

 

では、次に売上総利益がとれない原因について見ていきましょう。

 

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売上総利益がとれない原因4つ

 

利益が取れないというのは、目標または予算に対して下回っているという状態です。

 

たとえば、

売上総利益率予算が25%で実績が23.8%なら予算未達で、あなたのチーフとしての評価も下がるでしょう。利益が下回ってもお客様には直接関係ありませんが、ずっと予算割れの状態が続けば、経営も悪化し最悪あなたの店は、閉店になります。

あなたは降格か、転勤、もしくは両方かもしれません。

 

私の経験上、利益は担当者について回ります。利益の出せないチーフはどの店に行っても出せないし、出せるチーフはどこへ行っても予算を達成します。

この違いは一体なんなのか?

 

それがこのセクションのテーマです。

 

 

売上総利益がとれない原因4つ

  • 何%ロスを出して良いか知らない
  • ロスが多くなる行動をしている
  • 毎日棚卸しをしていない
  • 値入の低い商品の構成比が高い

ひとつずつ解説します。

 

原因①:何%までロスを出して良いか知らない

 

ロスの量が利益に一番影響するからです。

 

先程の図をもう一度見て下さい。

値入と売上総利益の関係

値入と売上総利益の関係

 
たとえば、
スーパーの場合、仕入原価も上限売価も決められています。勝手に原価を下げて利益を稼ぐことも、売価を上げて利益を稼ぐこともできません。

もし売価を上げて売って利益を稼いだとしても、そのうち客が来なくなります。長い目で見たら利益どころか、店がつぶれます。

つまり、値入率も値入高も固定されているということです。

そうなると荒利を稼ぐというよりは、いかに減らさずに売るかという行動になります。

 

図を見ればわかる通り、値入を減らす原因はロスの大きさです。

どれくらいロスを出しても予算の売上総利益率を確保できるかは、本部・バイヤーが指定してきた値入率と予算の売上総利益率の差を確認する必要があります。

 

求める式は

値入率-売上総利益率予算=可能なロス

本部が指定してきた値入率は、毎日発行される出庫伝票や仕入伝票で確認できます。

 

売上総利益は、値入以上に発生することはありません。

 

※食品ロスについては、「小売業の食品ロスがなかなか減らない原因と対策!」で詳しく解説しています。

 

原因②:ロスが多くなるような行動をしている

 

限界のロスがわかっても、ロスが出るような行動をしているということです。

しかも大抵、本人は気づかずにやっているはずです。気づいてないから、ロスが出て利益がとれない悪循環になるのです。

 

利益の出ない行動あるある

  1. 販売計画がない
  2. 発注が大雑把
  3. データを見てない活用してない
  4. 商品を出しすぎている
  5. 売場をどんどん広げている
  6. 開店から満タンに出してる
  7. 入荷から完売までが長い
  8. 在庫をみて品出しをしてない
  9. 状況を見て売場を変えられない
  10. 劣化品の手直しができていない
  11. 値引きが遅い
  12. 入荷品の冷蔵庫収納が遅い
  13. 在庫整理がされてない
  14. 売場・在庫・入荷の品質確認をしていない

いくらでもありますが、14個出しました。

 

グループに分けて解説します。

 

◆1~3

計画と発注の不十分さです。

 

計画もきちんとたてられてない上、データも活用ができていないので、行きあたりばったりの発注になってる人です。

意志を持って発注してないということです。

 

たとえば、

  • なにを:トマトを
  • どのように:M6個袋詰めで
  • いくらで:298円
  • どこで:第一平台そでで
  • いつから:金曜から
  • いつまで:日曜まで
  • どのくらい:3日で40000円
  • 原価840円24個入り 値入率29.5%

こんな感じの計画をフォーマットは自分の好きに作って、毎日レイアウトに落とし込んで共有化と見える化が必要です。

 

◆4~6

効率の悪さですね。

 

発注量と品出し量と販売数は、本来同じになるはずです。

計画がいい加減でデータも見ず、大雑把な発注をするということは、品切れを恐れ大量に発注している可能性があります。一日どれくらいの販売数かの目安がないため、ありったけどんどん出してるケースです。

品出しも、自分で自分に発注をかけて売場に商品を運ぶ作業です。

 

◆7~9

売る力と工夫不足です。

 

状況を見て、いまいち売れてないと感じた時に場所を変えたり、フェイスを広げたり、店内放送したり、なんとかして売ろうという気持ちがあるかないかで売上も利益を全然違うものになります。

なぜなら、青果部は生鮮食品なので時間とともに鮮度劣化して価値も下がるからです。

売る力や工夫ができない人は、すぐ売価を下げようとします。売価を下げることでなんとか売ろうとします。値下げすればもちろん売れますが、利益は減ってしまいます。

値下げする前に、やることはあるはずです。

 

◆10~11

劣化品の処理のしかたです。

 

新しく入荷した商品だからといって、全部品質がいいとは限らないからです。

ほうれん草、りんご、桃、ぶどう、みかん、どんな商品でも一部腐れやキズはあります。それを混ぜずに選別をして商品化します。

 

たとえば、

ほうれん草の葉っぱが一部とろけていれば、トリミングしたり、ぶどうも剪定したり、キズのあるりんごは袋詰で少し安く販売したりします。

これができないと、劣化品が1つでも混じっていると買ってくれないからです。99%よくても1%ダメなら買ってくれません。

その手間を惜しんで販売していると利益はとれません。

 

◆12~14

商品管理能力ですね。

 

入荷した商品は、品質チェックして速やかに冷蔵庫へ収納しないと劣化してしまうからです。

入荷時に品質不良がわかれば、すぐにバイヤーなり市場なりに連絡すれば代わりのものを送ってくれるか、伝票処理できます。

しかし、自分の管理ミスで品質を劣化させた場合は、自分で処理するしかありません。

 

たとえば、

葉物のほうれん草、小松菜、にらなどは暑さや風に弱くあっという間にダメになります。売場に出す前に勝負がついてしまいます。

冷蔵庫内の整理、先入れ先出し、箱に入荷日の記載ができていないと、ふたを開けたら真っ黄色、真っ黒、カビだらけ、ハエがたかってたなんてこともあります。

非常にもったいないです。

 

原因③:毎日棚卸しをしていない

 

本当に毎日在庫をカウントするわけではありません。

 

多分、ほとんどの部門担当者はパソコンで伝票や仕入れ、売上と在庫管理をしているでしょう。自分で入力している企業、入力しなくても画面上で確認できる企業があると思います。

 

その時の注意事項ですね。

たとえば、

  • ケタ間違い、数字間違いがないか確認
  • 自分で仕入れた商品の伝票の未入力
  • 不良品分の伝票処理

この3つですね。

たまにありますね、よく確認しないと、利益すごい出てる!なんて喜んでたら本部の入力ミスだった、ということはあります。

この仕入れの日計表と売上、客数、点数、在庫、期首在庫を連動させて棚卸表ができていれば、実際カウントしなくても、パソコン上で予算をクリアするに必要な在庫金額はいくらかを見て、実際の在庫がそれくらいあるか確認するだけで済みます。

慣れてくると、在庫をみただけで大体の在庫金額がわかるようになります。

コツは、月末棚卸しの時に、カウントした金額と在庫の景色を覚えておくことですね。

 

原因④:値入の低い商品の構成が高い

 

安い商品しか買ってもらえないということです。

 

たとえば、

  • チラシの商品、日替り品以外に魅力を感じていない
  • 定番の品揃え、鮮度、品切れに問題がある
  • 近隣のスーパーより価格が高い

つまり、普段遣いにあなたのスーパーを使ってないということです。

 

普段は、他のスーパーを使っているけど、たまごが安い時だけ利用されているかもしれません。そういうお客さんは、安いものしか基本買わないので他のスーパーより安いものだけ狙って買っていきます。

スーパーはチラシの商品だけ買われても商売になりません。

チラシで呼んで、定番品を買ってもらわないと利益が出ないからです。

 

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まとめ:利益が出るか出ないかは行動しだい

 

今回は、「売上総利益がとれない原因4つ教えます」と題して、生鮮部門を担当しているチーフを対象に、利益がでる行動のしかたをお話しました。

 

おさらいします。

 

まず、「売上総利益が発生する仕組みをきちんと理解しよう」ということです。

 

つまり、
売上総利益は売れないと発生しない利益

いくら値入を上げて値入率を高くしても、売れなければ売上総利益は発生しない。

この点を理解しましょう。

 

売上総利益がとれない人の改善ポイント

  • 限界ロスを知ると、利益をコントロールしやすくなる。
  • 知らずしらず長年、身についてしまった仕事のクセを直す。
  • 商品と伝票は毎日チェックして在庫と利益を確認する。

チーフの行動パターンひとつで、売上総利益も売上も劇的に変わりますよ。

がんばってください。

 

参考になれば幸いです。

今回は以上です。

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