部門のリーダーを目指す人
毎日大量の商品が入荷して大混乱しています。どこから手を付けていいかわからず、言われるがままにやってます。品出しをしないといけないし、荷物も整理しなくてはいけないので大変です。
こんな悩みにお答えします。
◆読んでほしい人
- 毎日、大量の荷物に追われている
- 作業に追われて一日が終わっている
- 仕事が終わらず、毎日帰りが遅い
◆本記事の内容
- 「仕分け」とは何か
- 「仕分け」の効果と重要性
- 「仕分け」に必要な情報
◆本記事の信頼性
この記事を書いている私は、
- 東証一部大手スーパー勤務歴25年
- 管理職歴(副店長・店長)5年
本当に現場で使える解説をしていきます。
◆本記事でわかること
- 「仕分けの重要性」を理解できます。
- 「仕分けのやり方」がわかります。
仕分け次第で作業段取りが大きく変わる重要な作業です。
「仕事が終わらない…作業に追われている」という方はぜひ、
最後まで読んでみてください。
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スーパーの品出しに必要な「仕分け」とはなにか
トラックから運び出された荷物を見て、
「これはすぐ出して!」
「これは在庫だからここへ置いといて!」
「これは特売品、これは明日の分」
「これは特注だから出さないで!」
チーフや先輩社員が会話していたり、指示されたことがあると思います。
なぜ台車に積まれた商品を見ただけで瞬時に分かるんでしょう?
経験の浅い社員やアルバイトの人には不思議な光景かもしれません。
つまり、小売業は入荷した商品を片っ端から全部品出しするわけではないんです。
大量の荷物の中から「品出し用に仕分けされた商品」を出しているに過ぎません。
この仕分けができないと、いくら速くてもとんちんかんで的外れな品出しになってしまうからです。
では、どうしたら仕分けができるようになるんでしょう?
今回はそんなお話です。
仕分けは時間との勝負
スーパーは鮮度・日付管理が命だからです。
外部から入荷した商品が「何者なのか」を把握して交通整理をしなければなりません。
たとえば、
生肉・生魚にいたっては、数時間で売り物にならなくなります。
入荷した時に、見ただけでこの商品は「何者で」「どこ行き」か判断できなくてはいけないのです。
荷降ろしは仕分けをするための作業
荷降ろしと仕分けは違います。
荷降ろしは、仕分けをするための作業の一部だからです。
しかし、小売業で働く人たちは、「荷物整理しといて」「荷降ろしして」という言い方をよくします。これは「仕分けをしながら」という意味が含まれているのです。
もし、文字どおり荷降ろしをしてしまうと無駄な作業が発生したり、二度手間になります。
たとえば、
こうなる原因は
- 売場の状況を見ていない
- 仕分けではなく、ただ荷物を冷蔵庫に収納しただけ
- なぜ100ケースも入荷したのか理解していない
仕分け作業は、売場の状況や販売に関わる情報が頭に入っていないとできないのです。
仕分けができれば一人前
「仕分けができる」はすべてを把握している証拠だからです。
たとえば、スーパーへ買物に行って帰ってきたことを想像してみましょう。
買ってきた商品をなぜあなたは、分類して収納したのでしょうか?
- 次回使う時に取り出しやすいため
- いつもの場所に置けば探しやすいため
- 冷凍や野菜・冷蔵に分けて収納しないと傷んでしまうため
すぐに料理に使うものは冷蔵庫にしまわずキッチン台に置いたりしますね。
スーパーの仕分けも理屈は全く同じです。
入荷した商品を交通整理して、あるべき場所と用途に分けるのです。
買物をするときあなたは、
- どんな料理を作るか
- 何人分作るか
- 何曜日になんの料理を作るか
- お菓子は誰に食べさせるか
- お弁当になにを入れるか
- キャベツはまだあったな…など
あらゆることを想定し計画して買い出しをしたはずです。
だから、買ってきた商品を見ただけで「仕分け」ができたのです。
つまり、計画と発注と在庫を把握していないと買物も仕分けもできないということです。
買物した後の仕分けとスーパーの仕分けは同じなんですよ。
スーパーの品出しで「仕分け」の効果と重要性とは
仕分けには、どんな効果があるんでしょう?
このセクションでは仕分けの効果と重要性についてお話します。
「売上・品出し・発注・鮮度・残業」すべてに関わる
◆仕分けの効果
- 作業がスムーズに運ぶ ➡ 残業減る
- 品出しが速くなる ➡ 品切れ・品薄が防げる
- 在庫管理がしやすくなる➡鮮度アップ➡売上が上がる
- 発注精度が上がる ➡ 食品ロス減る
上記の通りです。
「仕分け」することが目的ではありません。
上記の効果を生み出すための手段です。
以前、品出しのやり方を書いたマニュアルを3つ書きました。
この3本のブログの解説に共通していることは「品出しそのもの」の解説であり、品出しをするまでの過程や前提は解説していません。
つまり、すでに「仕分け」がされていることが前提で話を進めているからです。
本来、仕分けと品出しはセットで行うのが流れです。
初心者の方にわかりやすくするため「仕分け」の部分はカットし、「品出し」にフォーカスして解説したのです。
入荷した商品の仕分けができていなければ、品出しは渋滞していまいます。
品出しは入荷した時の仕分けから、すでに始まっているのです。
仕分けの重要性
就業時間、残業にまで影響してきます。
仕分けで作業段取りが大きく変わるからです。
仕分けなんかしている暇はないというなら、時間の使い方を誤っています。
切れない斧で大木を切っているキコリの話と同じです。
冷静に考えれば、斧を研ぐか変えるかして切れ味を良くしたほうが速く切れるはずです。
しかし、そんなことしている間に切ってしまったほうが速いと思い込んでいるのです。
売場と在庫の状況をよく観察し、整理した上で仕分けをした方が、速くてムダがありません。
10分でいい、作業を止めて全体を見渡して状況の把握に努めましょう。
慣れれば5分、3分…作業しながらでもできるようになりますよ。
でも、どうすれば仕分けをスムーズにすることができるのでしょう?
次のセクションで解説します。
スーパーの品出し前「仕分け」の方法
仕分けはどのようにされているのか?
今回は、生鮮部門とグロサリー部門に分けて解説します。
売場・加工・在庫用に分けてみよう
大きく3つに分けています。
- すぐ売場へ出す商品
- 加工へまわす商品
- 在庫として管理する商品
上記の通りです。
ひとつずつ解説します。
生鮮部門の仕分け
◆加工調理が必要な商品
以下は、加工調理の代表例です。
<鮮魚部門>
- 刺し身・・・マグロ・カツオ
- 切り身・・・シャケ
- 詰め物・・・魚卵・しらす
<惣菜部門>
- 揚げ物・・・天ぷら・唐揚げ・コロッケ
- 寿司・・・生寿司・巻物
- 米飯・・・幕の内弁当・シャケ弁
<野菜・果物部門>
- トリミング・・・大根・ねぎ・葉物
- 蘇生・・・サニーレタス・セロリ・とうもろこし
- 袋詰・・・きゅうり・リンゴ・みかん
- パック詰め・・・トマト・桃・梨
- グラム売り・・・豆類・ミニトマト
- カットフルーツ・・・パインブロック・カットスイカ
仕分けと同時に、担当者へ指示も出します。
だれに何の加工をどのようにしてもらうかを指示します。この時、順番と量の指示も忘れずに行います。
優先順位を付けるということです。
生鮮部門・グロサリー部門共通
<売れ筋とは>
- 主力品
- 広告の品
- 日替わり品(目玉商品)
など、販売点数が多いと予想される商品です。
◆在庫として管理する商品
冷蔵庫内であっても先入先出しで鮮度管理しています。
たとえば、
- 今日中には売場に出るが、一旦保管しておく商品
- 翌日以降に販売するための商品
- 翌日以降の在庫
- 特注品など
2万アイテム以上の中で在庫を持つ商品は限られています。
すべての商品の在庫を持つことはできません。
在庫置場を小さくし、売場を広くして売上にならないスペースは減らしています。
在庫があっても売場に商品が出ていなければ一円にもなりません。
スーパーの品出し前「仕分け」に必要な情報
仕分けができるチーフや先輩は、以下のような情報が頭に入っています。
- 売場の状態
- 在庫の状態
- 発注内容(本日の入荷品)
- 販売計画(チラシの内容含む)
- 優先順位
- 人員スケジュール(役割分担)
ひとつずつ解説します。
売場の状態
自分が担当している売場の状態をすべて確認しておきましょう。
- 品薄・品切れの商品
- なにが足りないか
- どれだけ足りないか
- 品出しの必要ないところはどこか
1日の販売数もざっくり把握しておきます。
最初のうちはメモを取りながらでもいいと思います。
慣れてくれば、売場の確認をする時間を取らなくても、作業しながら頭に入ってきます。
在庫の状態
在庫整理ができているということが前提です。
- 在庫のない商品はなにか
- どの商品がどれくらいあるか(ざっくりでOK)
これがわかっていないと、在庫の先入れ先出しができません。
入荷してそのまま売場に出したら、昨日入荷した在庫があったなんてこともあります。
特に、生鮮食品(肉・魚・野菜・果物)、日配品(牛乳・豆腐)は賞味期限切れの販売や食品ロスにも繋がります。
販売計画(チラシの内容含む)
発注は販売計画に沿って行われます。
- 特売情報
- 広告の商品
- 日替わり品
定番品の発注と違い、上記のような特売品は展開場所、商品、価格、販売形態、期間を計画した上で発注を行います。
チラシ以外の店長企画、チーフおすすめ品など店舗独自の企画もあるので上司とのコミュニケーションは欠かせません。
発注内容(本日の入荷品)
売場と在庫と入荷品、この3つはセットで把握が必要です。
必ずしも入荷品した商品が、当日販売するためのものではないからです。
たとえば、
- 翌日の日替わり品
- 翌日以降の特売品
- 特注品
物流センターも当日の特売品を当日配送するというのはリスクがあります。
前日か前々日(グロサリー品)に店着させることで物流を分散させることができますし、店側も前日に売場を作ることができるメリットがあります。
でも、販売計画も発注にも携わっていない人はどうすればいいでしょう?
大丈夫です。チラシを1枚もらって、よく見てください。
- 表裏全体を見て、チラシテーマを知る
- 担当部門の期間通しの特売品を確認
- 日替わり品・タイムセール品の確認
- 当日だけでなく期間全体の流れを知る
これで7割くらいの入荷品の仕分けはできると思います。
わからない商品は聞けばいいですし、特売でもないのに大量に入荷してると感じたら上司に報告しましょう。
バイヤーが送り込んできてるか、発注ミスの可能性もあるからです。
チラシを見ていれば、発注をしていないあなたでも気づくことができるはずです。
優先順位
売場・在庫・入荷品の状況が把握できたら、どこから手を付けて次になにをするか順番を考えなくてはいけません。
それによって仕分けするための荷降ろしの順番も変わってくるからです。
たとえば、さきほど解説したように、加工しないと売場に出せないものもあります。
加工するにせよ品出しするにせよ、どの商品から始めてどういう流れで作業を進めていくかストーリーを考えておく必要があるのです。
ストーリーにそって仕分けをしていきます。
人員スケジュール(役割分担)
自分一人でやるわけではありません。
部門の従業員5~10名前後で運営しているはずです。
アルバイトの契約時間に合わせて作業を割り当てるので、事前に出勤スケジュールを確認しておきましょう。
まとめ
今回は、【中級者向け】スーパーの品出しマニュアル【仕分け編】と題して仕分けの効果・重要性とその方法についてお話してきました。
「仕分け」は、スーパーの一日の作業を円滑に進めるための重要な作業です。
入荷した商品を仕分けすることができれば一人前といっていいと思います。
品出しだけではなく、すべての作業のベースになる作業です。
- 荷物整理に時間がかかっている。
- 作業が後手後手に回っている。
- 品出しがスムーズにいかない
- 在庫整理が上手くいかない。
- 勤務時間が長く残業が続いている。
こんな症状の方は、仕分け作業がうまくいくようになると改善されていくと思います。
「情報を集め、整理してから取り掛かる」
そんな感じですかね。
参考になれば幸いです。
今回は以上です。
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