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【初心者向け】スーパー客数予測の方法と手順

スーパーの仕事

新人の副店長

店長から来月の日別の客数予測作成を指示されました。経験がないのでどうやって算出するか分かりません。基本的なことならパソコンは使えます。

こんな悩みにお答えします。

 
◆本記事の内容
  • スーパーで客数予測はなぜ必要か
  • スーパーの客数予測3つの準備
  • スーパーの客数予測7つの手順
 
◆読んでほしい人
  • 管理職になったばかりの副店長
  • 店長の客数予測に納得がいかない人
  • うちの店に客数予測がない

 

◆本記事の信頼性

この記事を書いている私は、東証一部大手スーパー(売上は日本でベスト5入)勤務歴25年、管理職歴(副店長・店長)は5年です。小売業界で長く働いた経験をふまえ、理屈や理論ではなく実践に役立つ解説をします。

 

◆本記事でわかること

本記事を読み終えると「現場で使える客数予測の出し方」がわかります。
今回は、初心者向けの「【初心者向け】スーパーマーケット客数予測の方法と手順」を解説します。

私自身、大手スーパーで長く働き、管理職として毎月客数予測を作成していたので参考になるはずです。

 

客数予測は、店舗運営にかかせない数値です。

客数予測によって、売上をイメージしやすくなり、レジ、発注、スケジュールの計画もしやすくなります。必ず作成し共有するべきです。

 

結論、スーパーの客数予測においては下記が重要です。

  • 店舗運営の根幹となる数値である
  • ±5%は誤差の範囲
  • 完璧を目指すより、再計算が重要

 

順を追って解説します。

 

客数予測を全くやったことがない方にもわかりやすく解説します。

最後まで読んでみてください。

 

※客数が減ってしまう原因については、「売場のせいだけじゃない!客数が減る意外な理由8つ」で詳しく解説しています。

 

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スーパーの客数予測は、なぜ必要か

 

意味もわからず「店長にやれといわれたので作ってます」では、ただの客数当てゲームになってしまいます。

このセクションでは、「客数予測の重要性」について解説します。

 

店舗運営の根幹となる数値である

 

客数予測は、毎月作成するべきものです。

なぜなら、客数予測をもとに全部門が動くからです。

 

たとえば、

  • レジの稼働計画 ➡ サービス
  • 発注数と入荷日 ➡ 売上
  • 鮮魚・惣菜の製造計画 ➡ 利益
  • 売場計画と段取り ➡ 人件費
  • 人員スケジュール ➡ 店舗運営

部門の運営からサービス・売上・利益すべてが客数予測によって決まります。

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haru

予測がいい加減なら、すべてに影響が出ます。売上予算と客数予測はセットで共有すべきですね。

 

±5%は誤差の範囲

 

ピタリ賞を当てるのが目的ではありません。

±5%までなら精度としては十分だからです。

 

たとえば、

2000人の客数なら100人、3000人なら150人の誤差は範囲内です。
1時間あたり7~15人ですから、これ以上の精度を追求しても意味がないですね。
haru
haru

むしろ、このくらいの誤差はあるということも伝え、発注や人員計画をさせるべきです。

 

完璧を目指すより、再計算が重要

 

1回作って終わりではありません。

状況は刻々と変化しています。少なくとも1ヶ月前に作成した予測をずっと使い続けるのは現実的ではないからです。

 

たとえば、

日々、客数予測の進捗をチェックし状況に応じて、週末に翌週分の予測を組み直したり、週の半ばで週末の予測を修正するなど再計算が必要です。
大きくブレないよう修正が必要です。
haru
haru

日々チェックをせずに、誤差のあるまま使い続けることの方が問題です。見直しましょう。

 

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スーパーの客数予測3つの準備

 

客数予測を始める前に準備すること、です。

 

  • トレンドデータ3つ
  • 翌月の日別予算
  • 前年の天気と与件

 

順番に解説します。

 

トレンドデータ3つ

 

トレンドデータを3つ使用します。

 

  1. 前年同月の日別売上と客数
  2. 直近3ヶ月の売上と客数トレンド
  3. 直近3週間の週別の売上客数トレンド

上記の通りです。

 

それぞれ、前年に対してどれくらいで推移してるかも確認しておきます。

 

たとえば、

2019年4月~6月 月別売上・客数前年比

 売上前年比客数前年比
4月97.297.8
5月98.998.2
6月99.399.7

前年同月の日別トレンドを起点に、直近3ヶ月の月別トレンドと直近3週間の週別トレンドを考慮して作成する流れです。

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データは紙ベースとダウンロードしてエクセルデータとして使えるようにしておくと便利です。

 

翌月の日別予算

 

売上予算と客数予測を一体化させます。

予算と客数がバラバラでは意味がありません。

 

  • 客数予測:現在の流れをベースにした予測のため
  • 客数予算:売上予算をベースにした客数予算のため

客数予算は、売上予算を達成するため最低必要な客数です。客数も予算化することで日々の進捗状況がつかみやすくなります。

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前年を上回っているから安心ではなく、客数予算に対してどれくらいギャップがあるかを見える化できます。

 

前年の天気と与件

 

前年の今頃、なにがあったか知るためです。

売上・客数と照らし合わせて前年の状況から今年の予測を作成するからです。

 

たとえば、

  • 1ヶ月に台風が3つも来た
  • 大雪が2日も続いた
  • 運動会、遠足の日程
  • 大口の特注が入っていた

予算や前年比に対して異常値がある日は、その理由を確認しておきましょう。

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日誌を付けて、天気・気温、その日の出来事、気づき、反省を書いておくと来年のために有効です。店管理にして引き継げるようにしておきましょう。

 

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スーパーの客数予測7つの手順

 

実際、スーパーの店長が使っている方法を解説します。

表計算を使って、客単価から客数予測をする方法です。

 

手順①:売上予算を入力する

 

日別の店予算を入力します。

データをダウンロードしてエクセルに貼り付けてもOKです。

 

売上金額は、千円単位で入力してます。

曜日の入力も忘れずにしましょう。

 

手順②:前年の売上・客数を入力する

 

前年の実績を入力します。

 

この時日付で合わせず、曜日合わせで1日ずらして入力してください。

 

手順③:前年の客単価を計算する

 

表計算で前年の客単価を出します。

 

前年売上実績 ÷ 前年客数実績 = 前年客単価

 

③の列に客単価が出るように、セルに式を入力します。

 

手順④:前年の天気と与件を入力する

 

前年の天気と与件を入力します。

 

天気と気温は、気象人「気象ダイアリー」で過去の情報を見ることができます。

与件は異常値がある場合やイベント、学校行事、特注など記入しておきます。

 

手順⑤:客数(暫定)を算出する

 

客数の暫定予測値を出します。

 

前年の客単価を流用して今年の予算から客数を算出します。

(売上予算 ÷ 前年客単価)✕ 1000 = 客数予測値

売上予算は千円単位にしているので1000を掛けています。

 

予測というより、今年の客単価が前年と同じだった場合の予算達成に必要な客数です。

この段階では、前年の客単価をそのまま使っているので、この結果がそのまま予測値にはなりません。

 

手順⑥:客数前年比を計算する

 

予測値の前年対比を計算します。

(客数予測値 ÷ 前年客数)✕ 100 = 前年対比

 

予測値が前年の客数に対してどのくらいで推移しているかを表示します。

異常値があった場合もわかりやすいです。

 

今回の表には、予算100%、予算97%の表示があります。

これは当時、店の売上前年比トレンドが97%前後で、予算が前年103%だったため予算100%で前年103%、予算97%で前年100%でした。

予算を達成するために必要な客数と現実的な数値の2パターン計算していたためです。

 

手順⑦:今年の与件を入力する

 

現時点でわかっている与件を記入します。

 

 

たとえば、

  • チラシ投入期間
  • イベント
  • 学校行事(運動会・遠足)
  • 競合店情報(チラシ・店休)
  • 特注など

後で、予測値の修正に使います。記入漏れのないよう事前に調べておきましょう。

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ここまでは、既存の数値を入力して計算したに過ぎません。ここから修正をかけて完成させます。

 

次のセクションでは、修正の方法について解説します。

 

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スーパーの客数予測4つの調整

 

前年の客単価を流用して暫定的な予測値を出しました。

しかし、既存の数値をエクセルで計算させただけで、そのまま予測値として使えません。

 

4つの修正ポイントがあります。

  • 客単価の修正
  • 異常値の修正
  • 祝祭日の修正
  • 端数の処理

上記の通りです。

 

ひとつずつ解説します。

 

客単価の修正

 

客単価を現状のトレンドに修正します。

 

事前に集めた2つのデータを使用します。

  1. 直近3ヶ月の売上と客数トレンド
  2. 直近3週間の週別の売上客数トレンド

上記の通りです。

 

2つのデータからそれぞれ客単価を算出して

  • 直近3ヶ月の客単価前年比トレンド
  • 直近3週間の客単価前年比トレンド

直近の月別3ヶ月と週別3週間の流れを検証します。

 

◆客単価トレンド例

月別4月5月6月期待値
客単価前年比100.5101.6101.3101.4
週別3週間前先々週先週期待値
客単価前年比101.2101.7101.4101.5

この前年比の流れを考慮して来月の客単価前年比のターゲットを決めます。

 

今回は、101.5%の前年比で計画してみます。

 

最初に出した客数予測の縦列に1.015を一律掛けます。

一番上のセルの計算式に「*1.015」を加えて、下にコピーすればOKです。

 

客単価を現状のトレンドに合わせることがポイントです。

 

異常値の修正

 

大雪、台風などの天候不順で異常値になっている日を修正します。

 

今年はいつ天候が悪くなるかなんて分かりません。異常値の日は、平均的な曜日に合わせた数値に置き換えておきます。

大口の特注があった時なども、今年はどうなるかわからないため平均的な数値に置き換えておきましょう。

 

祝祭日の修正

 

曜日で決まっている祝日と、日にちで決まっている祝日があります。

 

たとえば、

成人の日、母の日・父の日は第何週の日曜と決まっています。天皇誕生日、こどもの日、春分の日は、毎年日にちで決まっています。

日にちで決まっている祝日は、前年と曜日合わせではなく、日にち合わせで客単価を算出し客数を予測します。

 

端数の処理

 

客数を10人か、100人単位にするか決めます。

 

一般的なスーパーの客数は1日5000人以下ですので、100人単位の客数予測で十分です。

はじめにお話した通り、ピタリを当てるのが目的ではなく、±5%は誤差の範囲内で精度としては十分だからです。

 

私のおすすめは、50人きざみの予測です。100と10の間を取っていました。

こんな感じです。

繰り上げか繰り下げか50にするか、近い方に合わせれば完成です。

 

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まとめ

 

今回は「【初心者向け】スーパー客数予測の方法と手順」と題して、客数予測の必要性と算出方法についてお話しました。

 

おさらいします。

 

以下の3点が客数予測のポイントです。

  • 店舗運営の根幹となる数値、必ず作成すること
  • ±5%は誤差の範囲、当てることが目的じゃない
  • 1回で完璧を目指さない、直近の再計算が重要

まとめるとこんな感じです。

 

1ヶ月終わったら、検証をして翌月や来年にいかせるようにしておくといいですね。

日誌を付けておくのは本当におすすめです。

 

参考になれば幸いです。

今回は以上です。

 

※客数が減ってしまう原因については、「売場のせいだけじゃない!客数が減る意外な理由8つ」で詳しく解説しています。

 

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